みち・まち探訪記

とある道路ファンがみる、全国の「みち」と「まち」。

八王子・豊田探訪【中編】1.八王子駅周辺の街並みと道路元標

 

 【八王子・豊田探訪【前編】とある都道の謎... - 道とまち 研究ブログ の続き】

 中編となる今回からは、以下のような構成で八王子市東部と日野市南部の道とまちを紹介していく。

  1. 八王子駅周辺の街並みと道路元標
  2. 市東部の工業団地→2019年2月現在作成中→2020年2月公開予定
  3. 東京都道159号豊田高幡線2019/2/19「都道府県道完走記」にて公開。

【探索経路】

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  1. 八王子駅周辺の街並みと道路元標

  2018年5月25日、都営新宿線の最寄り駅から各駅停車の電車に揺られ京王八王子駅に降り立った*1。ホームは地下にあり、乗った電車は「高幡不動」行となって折り返す。後から気づいたことだが、そこは偶然にもその日のまちあるきの最終地でもある。それにしても、馴染みのある都営新宿線の車両がここまで来るのは新鮮な感じがした。

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  駅を出ると、ロータリーが見え沿線にはビル街が広がっていた。振り返ってみると大きな駅ビルがあり、京王八王子ショッピングセンターと呼ばれる複合施設を併設している。

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京王八王子ショッピングセンターを併設する駅

  JRの八王子駅までは駅通り(東放射線アイロード)を西に歩く。このあたりは交差点名称の「保健所」に見られるように、官公庁が集まる場所のようだ。とはいえ、繁華街と隣り合うので人通りは多い。

  また、道路標識好きの私が注目したのは、特殊な「指定方向外進行禁止」の道路標識が示す、五差路だ。道幅が狭く、混雑防止のためか時間制で規制されている。

 

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  JR八王子駅に着くと、中央線・横浜線八高線と接続できるターミナル駅なので、規模の大きさを感じさせる。「セレオ八王子」(元・八王子そごう)という複合施設を併設する巨大な駅ビルがあり、八王子のシンボルとなっている。

 周辺のビルにも飲食店等の商業施設が多く見られ、平日の午前中でも人が行き交う多摩地域中心市街地を形成している。東京から40㎞も離れたところで、ここまで大きな規模の都市開発が行われたことは驚嘆すべきところだ。

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  大学に向かうものを中心に、数々のバスが発着するバスターミナルを横目に歩くと、国道16号方面に北上する大通り(桑並木通り)に出た。歩道や地下道が備えられた片側二車線道路と道路規格が良い。

いくつもの路線バスや送迎の自動車もスムーズに往来できる、ターミナル駅にふさわしいこの道は、2007年5月まで「東京都道161号 八王子停車場線」であった。最近、東京都に限らず全国各地で「停車場線」と呼ばれる短い都道府県道が、区市町村道へ移管される傾向にある。皆さんも身近な「停車場線」を都道府県道であるうちに訪れてみてはいかかだろうか。

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しばらく歩くと通称「甲州街道」の国道20号に突き当たる。東京と山梨の間の東西方向の交通を担う幹線道路である。 

案内標識には都内では珍しく、「道の駅」の表示がある。これは東京唯一の道の駅として知られる道の駅「八王子滝山」のことである。八王子の自然を生かした商業施設と予想しているが、どんな特産品が販売されているのだろう?気になったので次回は是非訪れたいところだ。 

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東京都唯一の道の駅が案内されている

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甲州街道上り(立川)方面を臨む

  この交差点を左折してしばらく歩くと、通称「東京環状」の国道16号(現道)との重複区間を示す案内標識が見える。国道16号は500m足らずで川越方面に分岐してしまうが、その重複区間の始まりとなる交差点に「一般国道八王子道路元標」がある。

  道路元標とは現在の「案内標識」の祖と言える存在であり、主要な道路の起終点、経過点を示すものである。大正8年の旧道路法制定において各市町村に一つ設置するとしたことが始まりだ。

ここにある道路元標は「八王子」という重要な経過点を示すもので、大正9年から設置されたという。これは設置当時の市町村と、その交通の結節点を探る手掛かりになると言っていいだろう。この地味なようで重要な道しるべは、日本各地で見られるので、今後行く先でどんどん記録していきたい。

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ここからは折り返して東に進路を変える。駅近くを通ると沿線の中学校が運動会のようで、かなりの賑わいを見せていた。多摩地域は周辺部に大学が多いイメージだったが、小中学校も多いこともわかった(合わせて100以上!)。この教育施設の充実ぶりには、さすが人口50万越えの中核市、と感じずにはいられない。また、都心から40㎞以上離れているのに、街道沿いは歩道にアーケードの設置されたビル街となっているのも印象的だ。

都心と違うことをひとつ挙げるなら、「川」の美しさだ。八王子市は西側の山裾に近いため、中州や大きな礫が見られ、私の住む東京東部との違いをありありと感じさせる光景だった。ただ都心の郊外で通勤の利便性が高いだけでなく、自然と気軽に触れ合える環境という魅力を持つ都市となっていることを感じた。

とはいえ私はまだまだこの町について、知識も経験も不足している。八王子市について詳しく知りたい方は以下のリンクを参照されたい。

八王子の魅力とは。|八王子市公式ホームページ

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 次回は甲州街道から離れ、中央自動車道沿線に形成される工業地域について綴っていく。最後までお読みいただきありがとうございました。

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中央道、圏央道にも接続するR16八王子バイパス

2019年10月 修正加筆

2020年2月 修正加筆、埋め込み地図を画像データに変更

*1:都営新宿線から直通する京王八王子行きの列車は2019年7月現在、ダイヤ改編により見られなくなってしまった

八王子・豊田探訪【前編】とある都道の謎...

 これより、道とまち研究の記録を載せていきます。まずは、今まで私が行った地域探訪から記事をを書いていきます。道路関連の話題の方が多くなったり、知識不足から憶測で語ったりしてしまいますが、ご容赦ください。

 

・八王子・豊田探訪の目的

 私は、今まで東京西部(市部)に訪れることが少なかったので、ベッドタウンとして有名な八王子周辺には是非訪れてみたいと思っていた。実はこのあたりは私が4月にJR中央本線の特急を利用したときに通過した地域でもある。車窓を眺めていると、とにかく「市街地の広さ」に驚かされた。高尾山の麓のギリギリまで、絶え間なく宅地が広がる風景からは、高度経済成長期の急激な宅地化の結果を実感することが出来た。さらに、私が普段通学で利用する都営新宿線の車両が高尾駅で見られたのも印象深かった。そこで、近いうちに八王子の地に降り、都心のベットタウンとして発展した街並みを見たいと思っていた。この地域のすがたを「道路」を中心とした調査から明らかにしていきたい。

 

・事前研究(東京都道159号豊田高幡線について)

 日野市認定路線網図(http://www.city.hino.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/005/268/20170725-172426.pdf 2018年6月21日情報取得)による道路網の調査を行った。データ量が大きく、スマートフォンだと上手く表示されないことがあった。ここでは都道の研究を主としていたが、やはり市道の計画路線が密集していることが感じられた。後の章でも述べるが、日野市は独自で路線番号を振り「市道標識」を設置している。これは、私の周りの自治体ではほとんど見られなかった。それだけ、日野市の道路整備計画の充実度が高いということが伺えた。

 さて、研究のテーマとした「東京都道159号豊田高幡線」は、ネット上でもかなり情報が乏しかった。起点の位置がはっきりしないのだ。まず、ウィキペディアに掲載されている起点の情報を見ることにした。

東京都道159号豊田高幡線 - Wikipedia

この記事には、起点が以下のように記されていた。

  • 起点:東京都日野市豊田(日野二小東 交点)

 「日野二小東」という交差点名だが、まず「日野二小」と呼ばれるものは存在しない。現在は日野市立豊田小学校と改称されていることが分かった。2015年度からなので、およそ3年前のことである。

学校の沿革 - 日野市立豊田小学校

 

 27.4    校名を日野市立豊田小学校に改称、新校章デザイン化

 

 ちなみに日野第一小学校と、第三、第四、第五、第六小学校は現在も存在する。なぜ、この小学校だけ改称に至ったかは不明だ。

 問題点は小学校の名称のみにとどまらない。肝心の都道の起点をウィキペディアの記事と地図で見てみよう。

 

東京都道159号豊田高幡線(とうきょうとどう159ごう とよだたかはたせん)は、東京都日野市豊田の東京都道155号町田平山八王子線交点から、日野市高幡の東京都道41号稲城日野線交点に至る一般都道である。

起点は先述の通り「日野二小(現豊田小)東交差点」である。Googlemapで見てみると...

 

起点に交わる道、都道じゃない件…

一番橋に続く道は日野市認定路線図を見ても、市道だった(幹Ⅰ-11の表示あり)。

しかし、グーグルマップどころか、地理院地図もこの交差点から都道の表記がされていた。一体なぜなのか?そこで困ったときの「日野市認定路線図」。

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やはり、起点は都道155号線との交点になっているように見え、つじつまが合う。

ズームアウトでWikiに示されている位置も確認。

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日野市認定路線網図に加筆(http://www.city.hino.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/005/268/20170725-172426.pdf 2018年6月21日情報取得)

日野市認定路線図がいつ作成されたのかは分からないが、この図の方が信頼性があるものとした。よって、この事前研究の結果から、実際に図に示されたルートで都道159号を踏破することにした。

次回は、2018年5月25日(金)に行った八王子・豊田探訪の行程を掲載していきます。

 

リンク・用語集

ご訪問ありがとうございます。まだまだ読みにくいブログではありますが、どうぞお楽しみください。正確な情報の発信を心がけていますが、気になることがありましたらお気軽にお知らせください。

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  ひょーしち(@HyoshichiMd)

 

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 日常で感じたことなどを幅広く書き綴ります。

  https://blogs.yahoo.co.jp/bounin_bo753

 

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【道路記事に関するメモ】
道路の表記について
特に国道、都道府県道については最初は正式名称を記し、次からは略して記します。

(例)
国道〇〇号→R〇〇
××県道〇〇号△△△△線→××r〇〇

道路ファン用語
「おにぎり」:青いおにぎりを逆さにした形の標識で、国道番号を表す。

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「ヘキサ」:青い六角形の標識で、都道府県道番号を表す。都道府県ごとに補助標識などの形式が異なる。

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「ソトバ」:交差点にある、横長の5~6角形の標識である。向きを変えて設置することで、その路線の方向がわかる。

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ブログ開設にあたって(2019/12/7 更新)

みち・まち探訪記へようこそ!


1.自己紹介とブログ開設の経緯

 HN:road37(ロードサンナナ)

 現在、大学二年生。幼少期よりオリジナル地図を描いたり、町中の標識を見たり覚えたりすることが好きでした。

ひたすらにゲームに明け暮れた小学生時代を経て、道路や標識など趣味としての「みち」の撮影を本格的に始めたのは、中学3年生の時でした。

都市や町並みといった「まち」に興味を持ったのは、中学3年の修学旅行の時。行きに利用した東海道新幹線から見た風景がきっかけとなりました。

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2014年5月撮影 記憶が正しければ、京都~新大阪間

いわゆる「ゼロメートル地帯」在住の私。「台地にへばり付く住宅地」という風景は、何年もの間忘れられないものとなりました。

関東地方の各地を訪れるようになってから、東京近郊でも同じような風景を見ることになりました。

これはいわゆる「職住分離」の結果。山がちで可住地面積の少ない日本に特有な景観なのです。

このように、後から学んだ知識と結びついたときの喜びは大きく、同時に日本や世界の様々な町並みを見てみたい、という目標ができました。


現在は、日本の国道や都道府県道を中心に情報収集しています。

その際に、個人HPやYouTubeのチャンネルをよく見るため、皆さんの地域調査に役立つサイトを、いつか自分でも作成したいと思っていました。

 

2.研究の目的と手法

  道路に関連するサイトやYouTubeチャンネルはたくさんありますが、何か「他とは違う」サイト作りができないかと考えたとき、「沿道風景」の研究に力を入れることを考えました。

全国各地の全ての都市や農村にはそれぞれ多様な歴史が根付いています。ですから、ただ「珍しい」道路や町並みだけを研究することはしません。

一見「どこにでもある」、「何もない(と思われる)」道路や地域もテーマに調査することで、日本各地の「変わりゆくみちとまちの今」を記述していきます。


【追記】

紆余曲折を経て、2020年より本格的に更新を進めていくことにしました。

ここ一年間でかなり探訪の記録が蓄積しているため、時系列にこだわらずより多くの記事を作成する予定です。

企画やコーナーの作成をすることで、私が紹介したい「みち」や「まち」を分かりやすく、楽しく読んでいただけるようなブログにしていけたらと思います。

 

3.おわりに

インターネット上で様々な方と交流するうちに日々知識不足を痛感しており、時折、誤った情報を記載してしまうことがあります。気になった事がありましたら、ご気軽にコメントをください。

皆さんが道路や地域を調べる際にお役立ちいただけるようなブログを目指していきます。よろしくお願いいたします。